書評:★★★★:名もなき受刑者たちへ「黒羽刑務所 第16工場」体験記

自ら経済的な過ちを犯し、黒羽刑務所の16工と呼ばれる「心身に障害がある者たち」を集めた特殊な刑務所でお勤めをした著者の振り返りです。

刑務所で懲役というと、法をも恐れぬ「無法者たちの巣窟」と思いますが「心身に障害がある者たち」を集めた
16工場でのそれは、その障害故に 実に人間味のあるやり取りが行われており、とても面白く読むことができました。

個人的に印象に残ったのは16工を監督する黒岩刑務官の器の広さと、半ばに登場する知的障害を持つ太田くんとの
エピソード、後半に出てくる大井さんという受刑者の人間性です。

とくに太田君については、著者の認識が正しければ「知的障害のせいで、様々な罪が冤罪として
なすりつけられて」刑務所で服役していて、皮肉なことに「刑務所が社会のセーフティネット」として機能していることがわかりませす。

Kindle Unlimitedで無料になっていたのであまり期待せずに読んだのですが、様々な人間模様と
受刑者を取り巻く冷たい社会などがとても面白く、考えさせられました。

おすすめの一冊です!

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