書評:★★★★★アイアンハート 折口雅博

今年のベスト本! 明日をより良くしたい人は、今すぐ購入して読んでください。

鈴木宗男事件で連座し失脚した佐藤優氏や、ライブドア事件で一躍ヒールとなった堀江貴文氏、また村上世彰氏など世間で大バッシングされた人物は、実は卓越した能力を持つ人であり、佐藤優氏曰く「時代の転換点のケジメ」として一時的に失脚させられたケースが大半であります。

本書は世間的には「グッドウィル」グループの総帥であり、介護産業を「日の当たるビジネス産業」と大転換させたにも関わらずメディアの印象操作の波に揉まれ、一度は失脚した折口雅博氏の半生としての回顧録であり、現在続けている
コンサルティング事業について、また家族とアメリカの文化について氏の言う「センターピン」を持って語られています。

とても長い本書ですが、幼少期の挫折と復活、またスポーツを通した強さが「折口雅博」を作り上げたのだと思いました。
また苦学生として自衛隊少年工科学校に通っている頃に行った「弱者への施し」には折口氏の篤志家としての一面が垣間見え「その後日談」には思わず目頭が熱くなりました。

その後商社マンになり「ジュリアナ東京」を成功させるまでの道のりや、その後の裏切り、予期せぬ追放は図らずも「グッドウイル」の躍進と凋落を予想させるものであり「成功する人は何をやっても成功する」ということがよくわかります。
折口氏は物事の捉え方に関して常に論理的であり、かつ「ああそうだったのか」と思わず頷いてしまう視点を持っており、本書全体を通じて「成功する人の考え方」を学ぶことができます。

本書では詳しくは述べられていないのですが「グッドウイルの大バッシング」の裏には、介護業界で一人勝ちしたがその裏で行うべき日本的な悪習慣である「政治家への根回し」の不足や「介護ビジネスでの敗者」による嫉妬や恨みが渦巻いた結果、大衆の判官贔屓感情にマスコミが火をつけ、大舞台から引きずり降ろされたということが真相ではないでしょうか。
つまり善し悪しは別として、純粋な事業の成長に邁進しすぎ、金のバラ撒き方が足りなかったという風に理解しました。
まあ結局勝ったのは、既得権益の上に胡座をかいている大マスコミであり、踊らされた国民が馬鹿だったということです。

すべてを失って渡米し、その後ビジネスを起こす過程でなんと「ドナルド・トランプ」とも知己を得て事業を加速させていく過程は、まるで映画を見ているような躍動感があります。

その他にもコンサルティングの要点や、次男のサッカーを通してみたアメリカの仕組みは文化など、読みどころ満載です。(個人的には「各事業家の紹介と、サッカーを通した受験記録は少し長かったです」)

また本書の終盤にはアメリカの入学制度における、オバマ大統領とトランプ大統領の対応の違いが書かれていて両者の対応はおそらく多くの日本人が想像する結果とは異なり、とても興味深かったです。
折口氏から見たトランプ像は、一読の価値があります。

少しボリュームのある本書ですが、この事自体が折口氏のロジカルな考え方と、誠実な人柄を反映しているのでしょう。

久しぶりに「良い本」に巡り合うことができました。

今年(2020年)のベスト本です。星はもちろん5つ。

今日よりも明日を良くしたい、すべての人におすすめします!

It’s absolutely worth reading!

この記事はamazonに2020年11月23日に掲載しました。

書評はamazonと同じ、★5つで評価しています。