書評:★★★★★国のために死ねるか 自衛隊「特殊部隊」創設者の思想と行動 伊藤祐靖 (著)

おすすめです。2017年のマイベスト。他のことを差し置いても必ず読むべき一冊です!!!

個人的に2017年に読んだ本の中ではベストです。

自衛官とくに海上自衛官が普段どう行動し、何を考え、どのような人間環境の中働いているのかは一般人には程遠いのが現実です。

本書は元海上自衛官であり、イージス艦で不審船を国境寸前のところまで追い詰め、またその反省から海上自衛隊初の特殊部隊を創設した伊藤氏の回顧録です。

不審船追跡の臨場感から、特殊部隊創設までの様々な出来事、また体感してからフィリピンでの弟子であり事実上のメンターである女性との迫真に迫る「模擬戦」を余すところなく収録しています。

そのエピソードすべてが、まるで小説を読んでいるかのように展開され、自衛官という公務員であることの悲哀や異国に来たからこそわかる日本人としてのアイデンティティについて、平和ボケしている自分にはグサリと胸に突き刺さりました。

タイトルから「特定の人を寄せ付け、特定の人を排除」する本ですが、思想の左右を問わず誰でも読むべき一冊です。(読了後には、やはりこのタイトルしか無いことがわかります)
不審船追跡時に起きたこと、フィリピンで「弟子」に教えられたことなど、読んでいて心が震えました。

私心を捨てて生きることとは。命よりも大切なものとは何か。祖先が大切に作ってくれたものにリスペクトすることとは。等々、人生について深く考えさせられます。

本書は「生涯の忘れられない一冊」になります!