書評★★★★:知の旅は終わらない 僕が3万冊を読み100冊を書いて考えてきたこと 立花 隆

「同時代を撃つ」から「農協」「宇宙からの帰還」また「サル学の現在」など、幅広い分野をカバーした
立花隆氏が先日亡くなられて、振り返る意味で拝読しました。

先日「日本共産党の研究」でともに働いた花田編集長によると立花氏は「知の巨匠」というよりも
「日本におけるデータジャーナリズムの基礎を築いた人」といったほうがしっくりするとのことでしたが
本書ではその生い立ちから晩年の作品までを随所にデータを取り混ぜながら立花氏が振り返っています。

90年代の立花氏の作品は多く読んでいるのですが、脳死判定における大きな事件となった札幌医大の和田教授の
事例について初めて読んで、そのあまりのずさんさに今更ながら驚きました。

その他「田中角栄研究」や「天皇と東大」「武満」まで、生涯の作品を振り返るには良い書だと思います。

「臨死体験」の最後に「多くの死の事例を調べるにつけ、自分が死ぬことがそんなに怖くなくなった」と仰っていましたが、
晩年の立花氏はまさにそのような心境であったと振り返ることが出来ました。

今世紀に入って立花氏の著作を目にすることが少なくなり、少し寂しい思いでしたが、本書を読んで一区切りをつけることが出来ました。

立花先生ありがとうございました。安らかにお眠りください。

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 (著)