★★書評:豊田章男

血判状を書かせるような気色悪い企業の末路は「自動車業界のFoxconn」

Kindle Unlimitedで無料だったため拝読。

トヨタは個人的に好きなメーカーなので、あえて辛辣に書かせていただきます。

仕事柄様々なメーカーの車を乗りましたが、自家用車はずっとトヨタで通してきました。

クラウンはある意味もっともトヨタを体現している車で「ハードウェアとしてのおもてなしは一流」ですが、「ソフトウェアの出来は目を疑うような酷さ」です。

本書の中でもGazooから派生した「G-Book」の記載がありますが、仮にも世界のトップメーカーが作ったとは思えないほどの酷いインターフェースと、「旧態依然とした窓口の対応」で空いた口が塞がりませんでした。

本書でも述べられていますが、トヨタはしばらく創業家依頼の社長が続き「車よりも経営に関心があるような社長」が運営を担っていましたが、
ようやく「車好きな社長」が経営を担うこととなりだいぶ期待していたのですが、本書を読み、残念ながらトヨタは「100年に一度の大改革の波」には乗り切れないと思いました。

トヨタが得意なのは、プリウスのようなあくまでも「20世紀的な工業製品の秀作」であり、どのようなしがらみがあるのかは知りませんが「3万円のスマートホン以下のインターフェース」然り、「前近代的なデータの更新方法」しか
提供できないソフトウェア面での貧困さ然りで、ハードウェアとしての仏とソフトウェアとしての魂を融合した「21世紀のクルマのカタチ」は到底作ることができないと思いました。(個人的にはプリウスは嫌いですが。。。)

また本書でも少し触れられていますが「いわゆる城下町」での社員の不遜な態度や、下請けいじめとも言えるコストカット、またトヨタ全体を覆う「過去の成功体験」が、「ITとクルマとの融合」を大きく妨げると思います。
(特に一部の地方のディーラー職員の勘違いは目に余るものがあります)

「クルマ」がかつての憧れの対象から没落したのは「可処分時間を携帯(インターネット)に取られた」からに他ならず、今後も「可処分時間を奪取」することは不可能です。
トヨタの敵は同業他社ではなく、「ケータイ」であり「インターネット」であり「AppleやGoogle」なのです。
つまり殆どのドライバーにとって「クルマ」の求めるものは「価格と堅牢さ、低い維持費」のみです。
かつて章男社長がたしか「スープラ」でドリフトして登場したシーンを見たことがありますが、(個人的には興味を引きましたが)多くの日本人にとって、それは20世紀の価値観です。

EVの時代になって求められるのは「ハードウェアとしてのクルマ+良質なインターフェース」です。
いつまで経っても醜悪なインターフェースと、シガラミ満載の販売網を維持し続けるトヨタは「誰が運転主体となるのか」という「次世代の車のイニシアチブ」を握ることはできません。

まあこれだけの大企業ですから、無くなることはありませんが、マスメディアのようにトヨタのプレゼンスは徐々に低下していくことでしょう。

モノづくりには長けているのですから、いっそFoxconnのようにGoogleやAppleの「下請け工場」となって次世代の生き残りに賭けてみてはいかがでしょうか?

東洋経済の連載を単行本にしたようですが、章男社長自身の直接インタビューも少ないしまるでトヨタの社内報を読んでいるかのようでした。

星は2つ。無料なら読む価値はあります。

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