書評:4/5:海賊とよばれた男(上) (講談社文庫)

夢中になって読める歴史小説

大ベストセラー小説ということで、今更ながら拝読しました。

戦前から戦後における出光石油創業者の物語ということで、著者の力量も相まって大変面白く、
夢中になって読むことができました。

歴史小説ということで多少脚色はされていると思いますが、私欲よりも国益を優先させた
店主の心意気には大変惹かれました。

しかしながら一方で「かつてはチャレンジャー出会った出光石油」が今や悪い意味でエスタブリッシュメントになり
猫組長曰く「安い石油の供給を持ちかけたら、利権が壊れるために断られた」というエピソードが示すとおり
残念ながら鐵造のようなマインドは、今の出光石油には残っておらず、このことが日本経済の疲弊につながっていることも現実だと思いました。

現実はさておき、本書の小説としての評価は星4つ。
少々長い小説ですが、年末年始などの長い休みに読むには最適だと思いました。

温故知新といいますが、鐵造に限らず、かつてこんな立派な日本人がいた事や、戦略物資としての石油の重要さが、改めて理解できました。

— 書評の星の数はAmazonのレビューのものをそのまま掲載してます(最大は★5つ)—

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