野村監督の野球愛と人柄がにじむ良本
名将野村克也監督が晩年に采配した、シダックスでの3年間が記述されています。
数ある野村本と概ね相違はないのですが、自らを「月見草」と称した野村克也氏が「日の当たらないアマチュア野球」でどのように振る舞ったのかがわかります。
阪神を事実上解雇されて、「アマチュア野球」という究極の都落ちしたなか、強い球団にすべく
プロでいた頃と変わらない熱意でシダックスを育て、何名ものプロ野球選手を生み出したことには、ただただ感服します。
本書で一番印象に残ったことは著者である加藤氏が「オフレコに近い講演で話した人物評」を記事にしてしまい、野村監督を怒らせてしまったエピソードです。
その記事のことで監督の元を訪問すると、激怒するでもなくコーヒーを勧められ、付き人と談笑したのち
そのまま返されたということでした。
野村監督の懐の深さがわかるエピソードとして、印象に残りました。
また息子である克則氏の人柄やプロ野球界での評判もわかり、とても参考になりました。
他の野村本を読んだ方には、取り立てて珍しいこともないのですが、野村監督が最後までアマチュア野球を
愛していたこと、またサッチーなりに阪神退団の責任を感じていたことが、結果としてシダックスを対談させたことが事実ということが、本書を通じて理解できました。
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