久々に凄いドキュメンタリーを見た:NHK エマージェンシーコール 〜緊急通報指令室〜

NHKが最近不定期で放送している珠玉のドキュメンタリー「エマージェンシーコール」のレビューです。

救急の最前線で「人命の最後の拠り所」となる、救急司令室で対応する人々の姿を追います。

「人命を救う」という絶対に逃げられないプレッシャーの中で、隊員たちは何を思い、行動するのか。

twitterでの反響はこちら

12月1日追記:

「エマージェンシーコール」ですが、過去分も含めて3日間放送されることになりました。

世知辛いご時世の中、困難を乗り越え、職務を全うしようとする救急隊員の姿勢に感銘を受けると思います。
深夜帯の放送もあるので、ぜひ録画して御覧ください。

緊急アンコール決定!過去2作「東京」「横浜」

・12/3(土) 午前9:00~ 「エマージェンシーコール~緊急通報指令室~」東京 10月10日に放送されたものの再放送です。


・12/4(日) 午前3:23~ 「エマージェンシーコール~緊急通報指令室~」横浜 一番初めに放送され、この記事でレビューしたものです。

新作!「緊急通報司令室 埼玉」
・12/5(月) 夜10:00 新作「エマージェンシーコール 埼玉」警察と消防が舞台の45分バージョンです。

見逃した方はNHKプラスにてぜひご覧ください。

以下は一番最初に放送された「エマージェンシーコール 横浜救急司令室」のレビューです。

思わぬ事件や事故、ケガや病に見舞われたとき・・・24時間365日、どんなときも応答してくれる緊急通報の指令室にカメラが密着!緊急通報を受けるオペレーターと、通報者の会話だけで日本の今を描くノンフィクション番組。ヨーロッパやアメリカで人気のシリーズが日本上陸。

夕方はいつもNHKのニュースを見ているのですが、今日は久しぶりにNHKらしい 凄いドキュメンタリーを見ました。

祝日の夕食どきに番組が始まった途端、思わず(文字通り)画面に釘付けになりました。

「エマージェンシーコール 〜緊急通報指令室〜」という番組で、横浜市消防局の緊急通報司令室の救急電話受付の業務を追ったものです。

119番の受付電話といえば「身内に異変が生じ、慌てながら連絡する」のは当然ですが「アルコール依存症の女性が悩み相談のために」かけてきたり「理不尽に高圧的な男性が、不遜な態度で救急要請をしたり」、中には「近所の猫の苦情」や、果ては「留置所からかけてきて水を求めるもの」に至るまで、トンデモ救急要請がたくさん出てきます。

そんな中で最後に紹介されたのが「買い物から帰ってきたら お父さんが倒れていたのを発見した娘」からの救急要請でした。

ほとんど絶望的な状況の中で、救急車が到着するまで懸命に心臓マッサージをし続ける切なさは 筆舌に尽くし難いものがあります。

娘さんは電話越しに「自分がこんなタイミングで買い物に出掛けてしまったこと」を後悔し、涙ながらに 既に反応しなくなった父親に 声をかけながら心臓マッサージを続ける様子が まるで自分の身内のことのように思えて、そのリアリティに思わず号泣しそうになりました。
(ラジオのように余計な脚色のない音声のみのやり取りだったので、想像力を掻き立てられたのだと思います)

30分という短い間に、本来あるべき姿があり、世知辛い世の中を反映したものがあり、また見ているものを考えさせる内容もあり、現在の日本が抱える問題が凝縮された とても良くできた番組だと思いました。

いろいろと問題のあるNHKですが、以前放送された「ダイオウイカのドキュメンタリー」や「ドキュメント72時間」など、NHKでしか作れないドキュメンタリーがあり、これこそがNHKの存在理由だと思います。

少し前から「視聴者が求める番組」について NHKはひどい勘違いをしていますが、民放の二番煎じのような、芸人を集めたくだらない番組ばかりを作っている暇があったら、制作本数を今の10分の1に減らしても構わないので、このような良質なドキュメンタリーを作り続けてほしいものです。

#エマージェンシーコール

— 番組の内容 —

思わぬ事件や事故、ケガや病に見舞われたとき、24時間365日応答してくれる119番通報。通報を受ける指令室にカメラが密着!赤ん坊が泣き止まないと心配する人、深夜に不安を抱えて電話をかける人、そして思いがけず訪れた家族の一大事・・・通報者と緊急通報指令室のオペレーターの会話だけで日本の今を描くノンフィクション番組。今回の舞台は、年間およそ30万件の通報が寄せられる横浜市消防局。救急車・消防車が出動するまでの知られざるドラマとは。

追記:

NHKの「月間みなさまの声」でも反響があったようです。(リンク先はPDFです)

この番組が1月のギャラクシー賞を受賞したとのことです。(リンク先はPDFです)